2024年5月、サム・アルトマンはハーバード大学で「広告とAIの組み合わせは独特に不気味だ」「広告は最後の手段」と語っていた。20ヶ月後、その「最後の手段」が現実になった。2025年に約80億ドルの損失を計上したOpenAIは、8億人の週間アクティブユーザーを抱えながらも、有料ユーザーは5%にとどまる。広告導入は理念の後退ではない。生存のための選択だ。
OpenAIがChatGPTの無料版および月額8ドルのGoプランに広告を導入し、CPM(1,000回表示あたり)約60ドルというNFL中継並みのプレミアム価格で販売を開始
クリック課金ではなくインプレッション課金を採用した背景には、AIチャットボットユーザーが外部リンクをほとんどクリックしないという現実がある——GoogleのAI Overviewsでソースリンクをクリックするユーザーはわずか1%だ
MetaのCPM20ドル未満、一般的なオンライン広告の一桁ドルと比較して3倍以上の価格設定であり、AIチャットボットが「検索」とは異なる広告市場を形成する可能性を示している
Overview
- OpenAIは2026年1月16日、ChatGPTの無料版とGoプラン(月額8ドル)に広告を導入すると発表し、数週間以内に米国でテストを開始する
- 広告はCPM約60ドルで、Metaの20ドル未満、NFLなどプレミアムTV並みの価格設定となっている
- 広告はクリック課金ではなくインプレッション課金を採用しており、これはPerplexityも同様のアプローチを取っている
- Pro、Plus、Business、Enterpriseプランには広告は表示されず、広告がChatGPTの回答に影響を与えることはないとOpenAIは主張している
- サム・アルトマンは2024年5月に「広告は最後の手段」と述べていたが、2025年の約80億ドル損失を受けて方針を転換した
注目すべきは価格設定ではない。課金モデルだ。OpenAIがクリック課金ではなくインプレッション課金を選んだ理由は単純で、AIチャットボットのユーザーは外部リンクをほとんどクリックしないからだ。これはGoogleの広告モデルとは根本的に異なる構造を示唆している。検索広告は「クリックして購入」を前提に設計されているが、AIアシスタントはユーザーの意思決定サイクルのより上流——まだ何を買うか決めていない段階——に位置する。だからこそプレミアム価格を正当化できる。しかし、同時にこれは広告主にとって効果測定が極めて困難であることも意味する。NFL並みの価格でTV並みの計測しかできないプロダクトに、広告主はいつまで投資を続けるか。OpenAIの賭けは、AIが新しい広告市場を創出できるか否かにかかっている。
考える問い
- AIアシスタントが購買決定の上流に位置するなら、ブランドは「検索される」ことより「AIに推薦される」ことを目指すようになるか
- Anthropic、Google、Metaが広告なしのAIアシスタントを提供し続けた場合、OpenAIのユーザーはどこまで流出するか
報道記事・ソース
公式発表・一次情報
We are starting to test ads in ChatGPT free and Go (new $8/month option) tiers.
Here are our principles. Most importantly, we will not accept money to influence the answer ChatGPT gives you, and we keep your conversations private from advertisers.
It is clear to us that a lot… https://t.co/f9Dv53rWU7
— Sam Altman (@sama) January 16, 2026
OpenAI